ドナルド・トランプ氏は4年前の大統領選で、不法移民の抑制とメキシコとの国境の壁建設を公約に掲げて共和党の指名を獲得し、本選でも当選を果たした。だが今年は、自らを大統領の座に押し上げ、1期目に大きく注力したこの問題について、あまり強調していない。調査会社カンター/CMAGのデータをウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析したところによると、トランプ陣営が流した前回2016年のテレビ広告では、不法移民問題は4番目に多く言及されていたが、今回の大統領選ではかろうじて上位10入りを果たす程度だ。トランプ氏は不法移民よりも、抗議デモにおける暴動や雇用、政府の財政支出、中国などのテーマを重視している。前回の大統領選のテレビ広告では3番目に多く取り上げられ、トランプ氏が重ねて移民問題と結びつけていたテロ問題が、今回は一転して上位10にも食い込んでいない点は特筆すべきだろう。