生活保護関連データから
浮かび上がる「大阪都」の実態
本記事公開日の2日後、2020年11月1日は、大阪府で「大阪都構想」の賛否に関する住民投票が行われる。現在は賛成派と反対派のそれぞれが激しい主張を続けており、議論も白熱しているところだ。中には、事実の認識をめぐる論争もある。
しかし政策や施策は、視点や切り口によって異なる姿を見せるものである。あらゆる主張や議論は、その人の「私の見る大阪都構想の姿」に基づいて行われる宿命にある。生活保護に注目すると、大阪都構想の異なる様相が見えてくるだろう。
まずは大阪市の人口や生活保護の状況から、大阪都構想のもとで設置される4つの特別区の姿を見てみよう。数値は、2015年度国勢調査、および2019年度版大阪市「区政概要」による。なお保護率は、これらのデータから筆者が計算した。年次が異なるため、現在公表されているものとは若干のズレがある。
「パッと見」で印象を語ってみよう。まずは人口と世帯数だ。新しく設置される4つの特別区の人口は、おおむね60万人から75万人程度の範囲に揃えられている。一方、世帯数を見ると、おおむね30万世帯から40万世帯程度の範囲となっている。人口のバラツキよりも、世帯数のバラツキが相対的に大きくなっている。単身世帯・子育て世帯・ひとり親世帯などの状況には、大きな差がありそうだ。
次に、生活保護の状況を見てみよう。世帯数よりもさらに大きなバラツキがあることは一目瞭然。人員保護率で見ると、保護率が最も少ないのは新北区で約3.0%、最も多いのは新中央区で約7.4%となっている。