生活保護申請時に作成を促される
謎の顔写真入りカードとは?
2017年6月、大阪市浪速区の生活保護受給者を対象に、謎の顔写真入りカードが作成されていることが判明した。判明したきっかけは、支援団体に「生活保護を申請したら、顔写真を撮られた」「写真付きのカードをつくらないと、生活保護での医療が利用できないと言われた」といった相談や苦情が寄せられたことだった。
「確認カード」と呼ばれるこのカードは、後に浪速区・東住吉区・福島区・港区でも作成されていることがわかった。全大阪生活と健康を守る会連合会が作成した資料(2017年8月3日付)によれば、確認カードは2013年から発行され始め、現在までに4区合計で約5900枚が発行されている。
大阪市議会議事録によれば、「確認カード」の発案者は、冨岡朋治大阪市議であるようだ。2014年3月、大阪市議会定例会常任委員会(民生保健・通常予算)には冨岡氏の発言として「不正受給対策」という目的が明確に語られ、浪速区担当課長の答弁として「2014年1月末の発行枚数は1456枚」「全生活保護世帯数の約28%」と述べられている。
ただし、現在の発行率ははっきりしない。なお、写真撮影と確認カードの作成は、あくまでも任意であるということだ。問題は、「任意」であることが伝わっていない場合があること、断る自由が保障されているかどうか不明瞭であることだ。
まずは、「確認カード」と呼ばれるこのカードの写真を見ていただきたい。大阪市浪速区で、現在生活保護で暮らしている方に見せてもらい、撮らせていただいた写真だ。
私は一見して、「なんと安っぽい」と感じた。パソコンのプリンタでプリントアウトしたらしいグリーンの台紙があり、そこに顔写真を貼り付け、スタンプで番号を打ち、ラミネート加工しただけのものだ。その方によると、「福祉事務所に行ったとき、ケースワーカーがデジカメで写真を撮り、それをプリンタでプリントアウトしてハサミで切って貼り付けていた」ということだ。
もちろん、磁気ストライプやICチップなど偽造を防止するための仕組みは、まったく仕込まれていない。いまどき、美容院やクリーニング店の会員カードでも、写真を貼り付けるかどうかはともかく、もう少し気の利いた作り方をすることが多いだろう。