大規模開発やIR(カジノ事業)で潤っていればまだしも、失敗する可能性もある。

「大阪府の財政が苦しくなれば、いつでも交付金はカットされます。すると、福祉にも教育にも街づくりにも支障が発生するでしょう」(大口さん)

 生活保護についても、同様であろうと考えられる。大阪市の2016年の生活保護費予算は約2800億円だったが、75%は国が負担するため、大阪市の負担は約700億円であった。さらに、国からの財政調整交付金があり、実質負担は約60億円だったという。

「大阪府の特別区は、地方交付税を大阪府に奪われるため、大阪市が負担していた約700億円を、4つの特別区が負担することになります。でも、それは可能でしょうか。財源が保障されないと、最後の命のトリデとしての生活保護の役割は、果たされなくなります」(大口さん)

大阪都構想が生活保護を置き去りにして突き進む「危険なバクチ」本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

 それは、まるで米国の現在の姿だ。米国連邦憲法には、生存権を保障する規定はなく、したがって各州の生存権保障に必要な予算措置の責任は連邦にはない。州憲法で独自に生存権を保障している州もあるが、予算を確保できなければ「ない袖は振れない」ということになり、実際に生存権を保障するための給付などを行うことはできない。国としての社会保障政策で見る限り、米国は成功している国ではない。大阪府がそこを目指して進む必要は、本当にあるのだろうか。

公金での危険すぎるバクチ
大阪都構想は本当に必要か

 生活保護問題に長年関わっている弁護士の小久保哲郎さんは、大阪都構想の問題点を、端的に一言で述べる。

「一度大阪市がなくなると、二度と戻りません。極めて危険なバクチです」(小久保さん)

 バクチは、せめてカジノの中で、自分のポケットマネーで、住民を巻き込まずに自己責任で行っていただきたいものである。

(フリーランス・ライター みわよしこ)