ここまでやるか!?
新型ワゴンRの出来栄え

 軽自動車市場でいま、各社間の戦いがヒートアップしている。

20年の歴史、第五世代となった、スズキ「ワゴンR」(左)。スポーティタイプの「ワゴンRスティングレー」(右)。東京ディズニーランド近くのホテルでの報道陣向け同車試乗会にて Photo by Kenji Momota

 2012年9月6日の全国発売に向けて、8月後半からスズキ新型「ワゴンR」のテレビのティザー(予告)CMが目立った。

 俳優・渡辺謙を起用し、こう告知した。

「実は、クルマの燃費を良くする方法、まだあったんです。(両手のなかにコンピュタグラフィクスで電流を描き)キーワードは発電!」

 燃費、方法、まだ、あった。

 こうした語彙からは、軽自動車市場での熾烈な競争の現状が見て取れる。実は同市場、昨年後半から今年前半にかけて大きく変動しているのだ。

 では、まずは新型「ワゴンR」の出来栄えから紹介する。

 2012年9月18日、ホテルオークラ東京ベイ(千葉県浦安市)を基点に行われた、同車の報道陣向け試乗会に参加した。

「ワゴンR」は1993年9月に誕生、今回が第五世代となる。2012年7月時点での累計販売台数は377万9118台。そのうち、同年6月時点での保有台数は293万6000台だ(スズキ調べ)。この20年間で、1995~2001年、2003年~2011年の合計16年間、軽自動車で年間販売台数第一位となった。まさに、軽の王道である。

 今回、第五世代の使命として「社内で王道進化という造語を造って開発にあたった」(同車開発関係者)という。

「ワゴンRは初代で基本的な商品性は確立。それが、より良くなる方向で進化することが求められている」と、スズキは市場の声を分析している。

 その結果、今回出来上がった第五世代は、”まるで軽ではないようなクルマ”のレベルにまで進化した。