津波被害から復興
久しぶりに賑わった仙台港周辺
ランボルギーニ「アヴェンタドール」、日産の超小型モビリティ、マクラーレンホンダ「MP4/7」、いすゞ「117クーペ」、そしてトヨタ「アクア」……。
バラエティに富んだクルマたちが、百数十台。展示方法はシンプルで、コンパニオンもいない。しかし、展示各車自体が周囲に放つ魅力と、それを心底楽しむ来場者の笑顔によって、場内の雰囲気はとても華やかに見えた。
“夢メッセ再開第一弾イベント”と銘打たれた「とうほく自動車フェスタ」(宮城県仙台市宮城野区・みやぎ産業交流センター「夢メッセ」、2012年7月20日~29日)。10日間の総来場者数は5万6816人に達した。筆者は25日(水)に現地取材したが、夏休み中の親子連れ、情報収集や出展関係の会社員たち、さらに日本の自動車が盛況だった高度成長期を懐かしむように旧車を見る60代以上人たちなどで、会場内は活気に満ちていた。
また、同会場周辺を走ってみたが、東日本大震災での津波被害を感じさせるモノは見当たらず、倉庫、運輸関連施設、そして大型商用施設などは通常の営業体制に戻っていた。
復興から地域再生へと歩む東北地方。その経済の中心地、ここ仙台を発信源として最近、自動車産業に関する報道が多い。
それには、本年7月1日に誕生した「トヨタ自動車東日本」の影響が大きい。同社はトヨタの関連会社で、長年トヨタ車の最終組立を行なってきた関東自動車工業とセントラル自動車が、トヨタの部品関連企業のトヨタ自動車東北と合併したものだ。
日本の自動車産業はいま六重苦(円高、高い法人税、自由貿易協定への対応の遅れ、労働規制、CO2削減、東日本大震災後の電力不足)、さらには、少子高齢化+若者のクルマ離れ、新興国市場での販売拡大による生産の海外シフトの潮流加速と、多方面からの難題を抱えている。その結果、自動車製造拠点の海外移転、つまり産業の空洞化の危険性が叫ばれている。