石油業界は価格変動サイクルに慣れているが、今回は特にひどく、最悪期を乗り越えたという希望が薄れている。業界最大手でサウジアラビア国営のサウジアラムコには、痛みを和らげる簡単な選択肢が乏しい。アラムコが3日発表した7-9月期(第3四半期)決算は市場予想を上回る内容だった。平均価格が前期の1バレル=23.40ドルから同43.60ドルに上昇し、精製事業と石油化学事業の利幅と生産への打撃に対する緩衝材になったことが寄与した。だが10-12月期(第4四半期)は、それほど好調ではない。数カ月にわたり比較的安定した水準を保ってきた原油価格は、先週は揺れ動き、今週2日には一時、5カ月ぶり安値をつけた。世界各地での新型コロナウイルス感染拡大や新たなロックダウン(都市封鎖)の導入で、供給が徐々に増加する中でも需要が後退しかねないとの警戒感が出ている。