監訳者からのメッセージ
ザッポスのことを全然知らない日本人のために

『ザッポス伝説2・0 ハピネス・ドリブン・カンパニー』の原題の The Power of Wow が表しているように、本書には、みなさんを「ワオ!」と言わせる話がいっぱい詰まっています。

私は10年前の2010年に、今回と同じく監訳者(兼訳者)として、日本で出版された『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』(原題:Delivering Happiness)にかかわりました。そちらは10年にわたって読み継がれる、ロングセラーになっています。

普通なら、前作を読んでから新作へとなるのでしょうが、この『2・0』は、前作を読んでいない人ばかりか、ザッポスという会社をまったく知らない人でも大丈夫。間違いなく、面白く読めます。

本書は、ザッポスという会社と同様に、ちょっと変わっています。ザッポスで働く人たちが、会社のことや、携わっている仕事、顧客とのやりとり、仲間との交流などについて自分の言葉で語り、時折、CEOのトニー・シェイがコメント(茶々が多いかな…)を入れます。社員とトップの言葉が絡み合いながら、ザッポスという会社の姿を明らかにしていくのです。そんな本はめずらしいですよね。

しかも、彼らの体験と言葉を通して語られるビジネスへの深い教訓とハートに響くストーリーが、読者の涙腺を刺激します。思わず泣けるビジネス書って、読んだことがありますか? ハートに訴えかけるエピソードの数々は、読者の心にスッと入っていくことでしょう。ぜひ、心で感じてください。

ザッポス伝説2.0 ハピネス・ドリブン・カンパニー 告知情報

マーク・ダゴスティーノ(本書のライター)からのメッセージ
あなたのまったく知らないザッポスの物語を始めよう

ザッポスについて、もう知っている、そう思っている人もいるだろう。この本を手に取るだろう人の多くは、そもそもザッポスの神秘性にはまっている。あなたはザッポスについて、私がこの本のプロジェクトに参加したときよりも、はるかにたくさんのことを知っている。もちろん、私も追い付こうと努力してきた(何よりもまず、トニー・シェイの著書『ザッポス伝説』をむさぼり読んだ)。

しかし一方で、私はザッポスとの旅で学んだことがある。私たちがザッポスについて「知っている」と思っていることはすべて──既刊の書籍にせよ、メディアに掲載されたさまざまな記事にせよ──表面をかすっている程度にすぎないのだ。

この本が語るのは、2009年から10年分の経験とデータと情報をもとに、当時は仮説であり夢でしかなかったことを実証する物語だ。

ザッポス伝説2.0 ハピネス・ドリブン・カンパニー 告知情報

ザッポスの名を広めた「ワオ!」の文化、コア・バリュー、そして「利益、情熱、目的」への献身は健在であり、これらのコンセプトは繰り返し実践されてきた。ザッポスのアイデアの中にはうまくいかなかったものもあるが、すべての失敗はそれぞれ、刺激的な未来へと通じる教訓になっている。

今日では、ザッポスはかつてないほど大きな目的を掲げている。

長期的かつ持続可能な方法で、顧客、社員、地域、取引先、株主に、同時に幸せを届けることが可能だと示すことによって、世界を鼓舞し、インスパイアすること。

大風呂敷だと思うかもしれない。だがザッポスは、ひときわ高い目的を掲げ、それを追いかけることができる立場にある。2009年からアマゾンの傘下に入ったのだ。ただし、トニーがアマゾンと交わした契約は、ザッポスの独立性と自律性を約束している。

1 ザッポスは独立して運営され、従来のザッポスの取締役会と同様の機能を持つ経営委員会によって監督される。委員会の立ち上げ時は、アマゾンから3人、ザッポスから3人の委員で構成される。
2 ザッポス独自の文化は、これまでの成功の核であり、私たちはそれを守っていく。
3 アマゾンとザッポスの顧客体験には違いがあり、顧客がその違いを理解できるように区別を維持する。
4 アマゾンはザッポスから学びたいし、その反対も同様である。互いに情報を共有して学びを促進する。
5 統合に「必須」なものは法的に必要なプロセスのみとする(例えば、アマゾンは上場企業であるため情報開示義務がある)。これらに関しては明確に定義して伝達する。

 つまり、利益と成長を持続している限り、ザッポスには基本的にやりたいことをやる自由がある。そして、1999年の創業から10年、さらに次の10年で、ザッポスはオンライン小売業者をはるかに超えて、「ワオ!」にふさわしいサービスを提供する会社に成長した。新しいアイデアのインキュベーターとなり、急激な変化の波に直面して企業がどのように適応し、成長し、成功していけるのかを証明する、未来の実験場となっている。

 彼らの究極の目的は、すべての人に「ワオ!」を届けることだ。敗者のいないビジネスの公式をつくることだ。ザッポスを、自己組織化して変化し続けるダイナミックなシステムに変えて、社員、顧客、地域、取引先、株主など、すべての関係者に勝利をもたらすことだ。

ザッポスがこの10年に行った誰も試したことのないビジネスの実験を読んでほしい。


■新刊のご案内

ザッポスは驚異の働き方で、ティール組織を超えた!
アマゾンに買収された最強のネット靴店の超進化

●世界最大規模のホラクラシー
●「ワオ!」が繋ぐエコシステム
●異次元のエンゲージメント
●社員全員が起業家!

買収したアマゾンと結んだ「5ヵ条」/荒廃したダウンタウンに本社を移転して街を再生/ティール組織への大改革/社員18%が一度に辞めても改革続行/在職年数×1ヵ月のティール退職金/ザッポスを都市のように運営する?/新オフィスを動物園、スケボーイベント会場に!…

ザッポス伝説2.0 ハピネス・ドリブン・カンパニー 告知情報『ザッポス伝説2.0 ハピネス・ドリブン・カンパニー』
トニー・シェイ+ザッポス・ファミリー+マーク・ダゴスティーノ著
本荘修二監訳 矢羽野薫訳
定価(本体1700円+税)
ダイヤモンド社刊

はじめに サービスを追求し、ティール組織にたどり着いたザッポスの軌跡
PART1 私たちは最高につながっている
│第1章│ サービスが中心にある企業文化でつながる
│第2章│ ザッポス社員のつながる力
│第3章│ 個性を本当に歓迎する
│第4章│ 本当に信頼してもらうためにやっていること
│第5章│ 利益を超えたつながりを求めて
PART2 私たちは育み、成長し続ける
│第6章│ 表面からは見えないものを発掘する
│第7章│ 社員が変化を恐れずに向かっていける理由
│第8章│ 価値観を本気でシェアする
│第9章│ ホラクラシーの大変革!
PART3 私たちは自分を新しく創造する
│第10章│ 社内起業の先駆者たち
│第11章│ 進化のための革命
│第12章│ 未来はこれから
│第13章│ ザッポス・アダプティブで起こった奇跡