【ワシントン】米食品医薬品局(FDA)のスティーブン・ハーン長官は、FDAを率いてきたこれまでの10カ月間、あらゆる方面から批判を受けてきた。
ドナルド・トランプ大統領は、ハーン長官が率いるFDAが、大統領再選のチャンスを損なおうとして意図的にワクチン開発を遅らせていると非難した。ハーン氏をFDA長官に指名したのがトランプ氏だったにもかかわらずだ。そしてハーン氏の反対にもかかわらず、アレックス・アザール厚生長官は、何百もの病院が開発した検査の監督に関するFDA権限を制限した。
FDAが新型コロナウイルス感染症ワクチンの管理者的立場にあることから、一部の民主党員や外部の医療専門家らは、ハーン氏がトランプ氏の大統領再選のチャンスを増やすため、「科学より政治」を優先してワクチン供給を急ぐのではないかとの疑念を示した。
先月こうした疑念に対する答えが示された。ハーン長官とその中心チームは、厳格なワクチン承認計画を堅持する姿勢を示し、ホワイトハウスも、当初の反対姿勢を変えて、それを受け入れたのだ。これにより、ワクチンの広範な普及は何週間、あるいは何カ月も遅れる可能性が強まった。