38歳で初めてマスターズに参加
ご存じかもしれないが、陸上競技には「マスターズ陸上」という大会がある。
全日本大会へは18歳以上、アジア・世界大会へは35歳以上であれば何歳でも出場することができて、5歳ごとにクラス分けされている陸上競技の大会だ。
何歳になっても陸上競技ができる大会で、見方を変えれば、人生の熟練者たちが出場する大会とも言える。
いわゆる「マスター」の世界。
2018年、僕はこの大会に38歳で初めて参加した。
参加した理由は単純で、「今でもかけっこが大好きで、いくつになってもかけっこしたい」からだった。
もう少し詳しく言うなら、僕は20代でメダルという結果は出したんだけど、その結果の先に、もっと何かがある気がしていた。そんな理由もあって参加に至った。
それで、実際参加してみると、案の定超面白かった。だって、皆びっくりするほど「笑顔」だったから。
勝っても負けても笑顔。いや、超笑顔。
僕より何歳も年上の方が子どもみたいに喜んだり、笑ったりしている。
同じかけっこなのにとんでもないカルチャーの違いを感じてしまった。
変に緊張して、しかめっ面してる僕が何だか少し恥ずかしくなるくらいだった。
そして、皆、感情がとても豊かだった。
人目も憚らず思いっ切り悔しがる人や、涙する人、レース中に大声出して走っている人なんかもいた。
何だか自分が本当に狭い世界でかけっこしていることに恥ずかしくなった。
それと同時に、今の日本のスポーツ界ってこういった感情の最も豊かな部分をちゃんと表現することに欠けているんだなとも思った。