何歳までこの会社で働くのか? 退職金はどうもらうのか? 定年後も会社員として働くか、独立して働くか? 年金を何歳から受け取るか? 住まいはどうするのか? 定年が見えてくるに従い、自分で決断しないといけないことが増えてきます。
会社も役所も通り一遍のことは教えてくれても、”あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする裏ワザを紹介したシニアマネーコンサルタント・税理士の板倉京先生の話題の著書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」から、一部を抜粋して紹介します。本書の裏ワザを実行するのとしないのとでは、総額1000万円以上も「手取り」が変わってくることも!

「退職金専用定期」の特別金利は退職後1年程度しか使えないので、退職前に調べておこう。 Photo: Adobe Stock

「退職金専用定期」ならノーリスクで数十万の金利も!

 定年退職すると、金融機関が退職金を狙って、投資信託などの金融商品を次々に売り込んでくるので、どうしていいか迷う方も多いと思います。

 しかし、すぐに決められないからといって、普通預金に置いたままにしておくのでは、あまりにももったいない! 運用や投資の方針は決まっていないけれど、少しでも増やしておきたいという方は、とりあえず退職時期しか利用できない特別な定期預金「退職金専用定期預金」に預けることをおすすめします。

 たとえば、退職金3000万円を「給与受取口座の普通預金」(金利0・001%)に寝かせたままにしていたAさんと、近所の信用金庫などの「退職金専用定期預金」(金利1・5%)に預けたBさんを比較してみましょう。

 1年後、Aさんの退職金についた利息は、たった300円だったのに対して、Bさんの受け取った利息は45万円! どこに預けるかで、45万円もの差がつくこともあるのです。

 「退職金専用定期」は、退職時期に限り、0・5~2%程度の高い金利が設定された定期預金で、金利が一般的な普通預金(0・001%)の500~2000倍にもなります。メガバンクよりも地方銀行や信用金庫などのほうが金利が高い傾向にあるようです。

「退職金専用定期」でネット検索すると紹介されているサイトなどもあるので、探してみるといいでしょう。ただし、どこも金利が優遇される期間は、1~6ヵ月程度と短く設定されていますので、そのまま置いておくと低い金利になってしまいます。そんな時は、預け替えがおすすめ。優遇金利の期間が過ぎたら、また別の銀行の「退職金専用定期」に預け替えて、2度3度と優遇金利を受けることもできるのです。

「退職金専用定期」が利用できる期間は銀行によって、退職後「3ヵ月以内」という短期のものから「1年以内」「3年以内」といった長期のものまで様々です。事前に調べておいて、利用できる期間が短いものから長いものに預け替えていけば、高金利の期間を1年以上に延ばすことも可能です。先ほどの、Bさんも「退職金専用定期」の預け替えを成功させ、1年間で金利1・5%を実現し45万円ゲットしたのです。

投資信託との抱き合わせには要注意

 おトクな「退職金専用定期」ですが、注意してほしいのは、投資信託やファンドラップなどのリスク商品と抱き合わせ販売されているものです。

 金利6%(3ヵ月)など、破格の高金利のものは、ほとんどの場合、定期預金と「同額」の投資信託等を購入することが条件となっています。投資信託が悪いというわけではありませんが、抱き合わせされている投資信託は、選べる種類も限られていて、震えるほど手数料等が高い(3%のものも!)ことが多いので、すすめられるままに買うのは避けたほうが無難です。

 仮に3000万円の退職金の半分を定期(金利6%・3ヵ月)、半分を投資信託(購入手数料3%)にしたと考えてみましょう。

 定期の利息=1500万円×6%×(3/12ヵ月)=22万5000円
 投資信託の購入手数料=1500万円×3%=45万円

 なんと、投資信託の購入手数料のほうが高くなってしまうのです! しかも、投資信託は運用している間手数料が取られます。この手数料も高いものでは2%以上かかるものもあります。これでは、退職金が減ることはあっても増える可能性はかなり低くなってしまいます。

 退職金でやってはいけない投資などについては「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」でも解説していますので、参考にしてください。