Apple,M1,MacPhoto:SOPA Images/gettyimages

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米アップルの世界でその輝きが陰りつつあるパソコン「Mac(マック)」シリーズの刷新は、安全だと思えるかもしれない。だが、初代機種の発売から36年たつこの製品の変更にも、やはり幾らかのリスクがつきまとう。

 アップルは10日、自社設計の半導体チップを初めて搭載したMacの新機種を発表した。この半導体「M1」は、2006年から同シリーズに搭載されてきたインテルのプロセッサに置き換わる。まず同社ノートパソコンの最小機種――「MacBook Air(マックブック・エア)」と13インチの「MacBook Pro(マックブック・プロ)」――や、小型デスクトップ「Mac Mini(マック・ミニ)」に搭載し、いずれも来週から出荷が始まる。

 アップルは向こう2年でMacシリーズの全機種に独自プロセッサを搭載する見通し。主要部品を自社開発品にすることで、利益率は押し上げられるはずだ。クレディ・スイスのマシュー・カブラル氏の推計によると、Mac全機種で移行が完了すれば、1株利益(EPS)は1.5%上振れする可能性がある。