ドナルド・トランプ米大統領がライバル諸国と対峙(たいじ)する主要手段として活用した多くの懲罰的経済制裁をどう扱うかは、大統領選で勝利を確実にしたジョー・バイデン氏が直面する外交政策課題の1つになるだろう。
トランプ氏はこれまでの4年近い期間に、3577件の制裁指定を行ってきた。この制裁導入ペースは、オバマ政権時を3分の2ほど上回っている。
こうした制裁措置はイランとベネズエラの経済を大幅に縮小させ、北朝鮮を国際的な金融・貿易システムから閉め出した。また、シリアのバッシャール・アサド大統領が権力維持のために活用していた資金ネットワークも標的にした。そしてトランプ政権の当局者らは、さらなる制裁の実施を約束している。
しかし世界一の経済大国である米国の圧力が、新たな主要外交合意をもたらしたり、米国に敵対する国々に実質的な政策変更を強いたりすることはなかった。このため一部の専門家や元当局者は、単独の政策としてのこうした制裁の効果に疑問を示している。