中国の新型コロナウイルスワクチン候補は、その臨床試験の一つがブラジルで中断されている。このことは必ずしも開発が行き詰まっていることを示すものではなく、長期的にはむしろ、中国の医薬品輸出産業に対する国際的な信頼性を高めるかもしれない。ブラジルの公衆衛生当局が中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の臨床試験を中断した理由については、9日遅くに指摘された「重大な有害事象」以上のことはわかっていない。このような事態はワクチン開発後期には珍しくないことだ。英製薬大手アストラゼネカのワクチン開発にも同様の遅れが生じたことがある。矛盾すると思えるかもしれないが、今回の中断は結果的にワクチンの信頼性を高める可能性がある。少なくとも中国国外の治験では、安全性が精査されていることを示すものだからだ。中国は、臨床試験が完全に終了する前に国内での緊急使用を認めたとして、欧州の保健専門家の一部から批判を受けている。ワクチンをめぐる世界的な取り組みの中で中国が果たすであろう大きな役割を考えれば、医薬品輸出の評判(と実績)を改善することは重要だ。
ワクチン開発、中国の医薬品輸出の信頼高めるか
世界の数億人が中国製ワクチンを受け取ることになるだろう
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