『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
最近書評のために読んだ本で、ノンテリトリアルオフィス(自分の席をなくして働くオフィス)において、流動的に人が移動しコミュニケーションを取るようになるには適切な空間密度が重要であるという記述がありました。このような話が企業のオフィスの文脈意外で論じられてることはあるのでしょうか?
物理的に離れると、コミュニケーションは減る
[読書猿の回答]
サイモン『経営行動』が既に物理的な近接性はコミュニケーションの頻度を決定する、みたいなことを言ってます。MITにはウェストゲート研究(1950)から近接性効果という概念を提起したシャクターやフェスティンガーがいましたが、『経営行動』の初版って1945年ですよね。凄すぎ。
有名なのはアレン(1977)の「30mルール」でしょうか。人員間距離が1mの際には同僚と1週間内に少なくとも1回はコミュニケーションを取る確率が55%もあるのに対し、30m以上離れると、約5%にまで低下する、と。
最もオフィス限定でも更に遡れて、1919年にはマーヴィンが近接性とコミュニケーションの研究をしています。そういえば近接性propinquityは、ベンサムの快楽計算 felicific calculusにも入ってた気がします。