『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
とにかく行動に移せません
読書猿さん、はじめまして。とても馬鹿で情けない悩みがあるのですが、もうどうしたらいいのかわからないので相談させてください。
私は今年27歳になるのですが、考え方も立ち振る舞いも、なにもかもがまだ未熟だと痛感しております。そこで自分の成長につながることをしたいと心の底から思い、今自分に足りないものを考えたり、どういうことが自分のためになるかを調べたりしました。そしてなりたい自分になるために私がやるべきことを自分なりに決め、あとは行動に移すだけです。
ですが、なかなか行動に移せません。たとえば運動だったり勉強だったり(今資格準備中です)、自分でやろうと決めたことがどうしてもできません。やらなきゃ、とは思っているのにスマホを見ながらベッドでごろごろしてます。まるでやろうと決めたことを全力でやらないように頑張ってる感じです。自分で書いてても馬鹿かと思いますし、じゃあスマホ投げ捨ててやるべきことをやればいいのでは? と言われても全くその通りです。スマホも特に楽しくて見てるわけではありません。ただの現実逃避です。多分スマホがなければテレビなりなんなり、他に逃避するだけだと思います。スマホ見ながらも、ずっと頭のなかで「こんなことしてる場合じゃないのに…」と思ってはいるのです。なのに結局スマホ流し見だけで一日が終わり、後悔と罪悪感でいっぱいになります。
子どものころから計画を立ててなにかを成し遂げた経験がなく、テストの勉強も夏休みの宿題もずっと後回しにして前日に徹夜で終わらせようとしたタイプの人間です。多分こういったことの積み重ねが原因だと思います。ですが今現在、明確な目的もやる気もありますし、現実的な計画も立ててあります。自分に甘い人間なのでやるべきことを決して無理に詰め込まず(詰め込みすぎると始まる前に諦めてしまいます)、資格の勉強などはゆるいくらいのペースでやるつもりです。にもかかわらず、なにもできません。行動に移さないのです。自分でもどういった心理で現実逃避してしまうのかわかりません。
やろうと思ったことをやるにはどうすればいいのでしょうか? どうすれば行動に移すようになれるのでしょうか? 纏まりのない長文ですみません。読書猿さんのご意見やご助言をいただければ幸いです(本はおすすめいただいても現状多分読まずじまいになると思います…すみません)。
[読書猿の回答]
『独学大全』でも紹介した、行動デザインシートというのを使います。本が読めないとのことなので、途中まで作っておきました(もうやりません)。
人間は状況に反応する生き物です。言い換えれば、体温の恒常性はもっていても、意志の恒常性は持ち合わせていません。ならば、状況をデザインし直すしかありません。行動デザインシートは、そのために、どこに手を付ければいいか探すためのツールです。
表の最後の行を埋めてください。「何が生じてる?」をひっくり返せばよいのです。全部埋めなくても結構。一つ埋めたら、それを試す。そしたら次を埋めて、また試す。このくり返しです。