新型コロナウイルスワクチンの有効性が確認されたことで、11月には市場のほぼ全ての分野で、景気が急速に回復に向かうことを織り込む動きが見られた。景気敏感株や工業用金属、原油、ジャンク(投資不適格)債などはいずれも急騰した。だが米国債は違った。巨大な米国債市場は通常、特に景気の急回復を織り込む「リフレトレード」など、成長見通しに極めて敏感に反応する。成長の加速はほぼ常に、インフレ上昇と利回り上昇、ひいては米国債価格の下落を意味する。だが今回は投資家の読みが変化し、リフレトレードは実際のインフレをもたらさないという見方が受け入れられ始めている。ワクチンによって通常の生活が戻るとの見通しを背景に、とりわけ不人気だった多くの資産を巡る期待に火がついた。米石油大手エクソン・モービルの株価は11月に入り23%上昇し、少なくとも1972年以来、月間のパフォーマンスが最高に達する勢いだ。エクソンは同年、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージーから社名変更した。小型株の指標であるラッセル2000種指数も約21%高と、少なくとも1988年以来で最も好調な月間パフォーマンスを示している。
景気回復織り込む米国株、米国債は異なるシグナル
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