また、金融資産による生活の備えを計画的に作り、生活の安心を得て、さらには会社からの自由を得ることの素晴らしさと方法については、ジェイエル・コリンズ著『父が娘に教える自由に生きるための30の投資の教え」(小野一郎訳、ダイヤモンド社)を一読してほしい。まねするのは大変だが、考え方には共感する読者が多いのではないか。

 私見では、「30」も方法を覚える必要はなく、(1)手取り収入の半分で暮らす、(2)残りは全てインデックスファンドに投資する、の2つを覚えたら十分だと思う。米国人の著者は米国株のインデックスファンドを娘に薦めているが、日本人の場合、国内株と外国株のインデックスファンドを半々くらいで持つことをお勧めする。

コロナ禍のお金の心得
「資産運用の3カ条」とは?

 今年は、生活も仕事も市場も、コロナに振り回された一年だった。

 ウィズコロナ、あるいはアフターコロナの資産運用で確認しておきたいことを3つお伝えしよう。箇条書きにすると、以下の通りだ。

(1)原則として情報は株価に反映しているので、株価が上がっても下がっても投資方針は同じでいい
(2)収益性だけでなく「流動性」にも気を付けるべきだ。
(3)急落した時に売るな!

 コロナのような未知の事柄が多い要因が登場すると、将来の予測は難しい。しかし、資産価格には市場参加者が持つ将来予測が反映されているので、株価の上下によって株式を保有することの有利・不利は変化しない理屈だ。結局やるべきことは、自分にとって適切なリスク資産額を低コストで長期保有することだけで、他に改善できる点はほとんどない。

 あえて「コロナ」を意識するなら、自分を巡る経済的な不確実性が増しているときには資産の流動性、つまり換金可能性が重要になることが平時との違いだ。

 預金、上場株式、投資信託のようなものは即日ないし数日で換金できる。他方、不動産や生命保険などは、換金に時間がかかったり大きな費用がかかったりする。平時よりも一段魅力が落ちると考えるべきだろう。

 もっとも不動産のような資産の場合、コロナのような要因があると、通常なら売られなかったような物件が思いのほか低価格で手に入るといったケースもある。従って、資金力のある買い手には混乱や不況がチャンスをもたらす場合もある。飲食店などの店舗でも、かつてなら確保できなかったような立地や物件を入手できる場合があるだろうし、経営難に陥った企業を買収するファンドにも大いにチャンスがありそうだ。

(3)は、株価が上げても下げても有利不利はないとする(1)と矛盾する面もあるが、今年の3月のように市場参加者が恐怖の感情に陥っている時は「下げすぎ」(リスクプレミアムの一時的急拡大)である場合が多い。なので、「急落では、売るな」を今年の相場の一応の教訓としておきたい。