バイデン政権でも行き場を失う
ワシントンのエリートたち

 11月23日付米紙「ワシントン・ポスト」は「Washington’s establishment hopes a Biden presidency will make schmoozing great again」と題した記事を掲載した。トランプ政権になってから仕事を失っていた“ワシントンのエリート”たちが、バイデン政権になることで再び米国の中枢部に戻ることを期待している、という内容の記事である。同紙はこれを華やかな世界を忘れられない「貴族政治」だと暗にやゆしているのだ。

 トランプ政権は、今も官僚ポストの3分の1が空席のまま運営されているほか、民主党系のシンクタンクと反トランプを鮮明にしたシンクタンクを政策作りから外してきた。職を失った彼らだが、4年間の空白を埋めて、再び元に戻ることを期待しているというのだ。彼らは、新型コロナウイルスの感染者が急増する米国で、自分たちの世界だけはコロナ後、再び過去に戻ると考えているようだ。

 こうした復古派の期待を背負ったバイデン氏は、政治的な目的達成のためには友情をも殺す冷静さを持っている。そのため閣僚候補として、間違いなく進歩派から批判を受けるであろう人たちを挙げるのも、もしかするとあえての行動であるのかもしれない。バラク・オバマ前大統領が彼を副大統領に選んだ理由である「ニヒルさ」は、認知症などの疑いがある中でも、決して衰えてはいないというわけだ。

 老獪なバイデン氏が、最初から直球勝負をするかどうかは見通せない。だがこれまで民主党内でも長く批判されてきたワシントンのエリートたちをそのまま復権させるというのは考え難い。全米には年齢や人種にかかわらず、米国のために一身に働く新しい人材はまだまだ多数存在している。「選ばれた一部の人間だけがその準備をしてきた」というワシントンエリート特有の考え方は、もう古典的と言わざるを得ないのだ。