米国の大統領選挙で共和党から民主党への政権交代がほぼ確実となった。すでに中国では、バイデン政権下の米中関係をめぐるさまざまな臆測が飛び交っている。中国メディアの報道を取りまとめると、「好転はするが対中政策の基本路線は変わらない」という、極めて微妙な米中関係が見えてくる。(ジャーナリスト 姫田小夏)
バイデン政権で米中関係はどうなる?
共和党によるトランプ政権の4年間は、全米が反中スローガンに沸いた。2017年にトランプ氏が大統領に就任すると、タカ派の政治戦略家たちがブレーンに起用され、中国は同政権にとっての最大の敵となった。さらに、大統領選を控えた今年は、新型コロナウイルスを「チャイナウイルスだ」と連呼し、「世界は2つに割れるのか」といわれるほど対立がエスカレートした。
2020年11月9日、中国外交部の定例記者会でスポークスマンの汪文斌氏は「対話を強化し、相互に尊重し、協力を拡大し、健全で安定した発展を促進することは常に中国が主張してきたことであり、米国の新政府には同じ目標に向かって歩み寄ることを希望する」と述べ、すべては米国次第だというニュアンスをにじませた。
米中関係が歴史的な冷え込みをたどる中で、中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」も淡々と選挙過程を伝えるにとどまったが、電子メディアを中心に、中国ではバイデン政権下の米中関係についてさまざまな予想が報じられている。