テスラPhoto:Barcroft Media/gettyimages

――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

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 米テスラ株の急騰に乗り遅れた投資家が、どうして安眠できるだろうか? 同社の株価は2010年の上場初日の終値から1万2551%も高騰している。1万ドル(約104万円)程度のささやかな投資が130万ドルの豪華ビーチハウスに化けるほどの威力だ。市場全般に投資することで同じリターンを得ることは可能だ――1973年から投資していればの話だが。これは一生涯のディールだ。後悔よ、汝(なんじ)の名はイーロンなり。

 テスラの好機を見逃したとしても、あなたにはすてきな仲間がいる。テスラから「空売りの積み上がりが最多の主要銘柄」との汚名が消えたのは、つい最近のことだ。これは空売り筋が巨額の損失を抱えたからに他ならない。筆者もテスラを見逃した。最初はニッチなスポーツカー株だと考えており、その後はイーロン・マスク氏の壮大な野望をばかにしていた。筆者もプラス100万ドルのもうけを手にしたいのはやまやまだが、かといって好機を逸したことに心を痛めてはいない。

 投資家に後悔する余裕はない。日々、大金持ちになる新たな機会は生まれているが、われわれはその多くを見逃しがちだ。株価が上場来125倍にもなったテスラだが、値上がり率トップではない。少なくとも米株市場の主要3000銘柄の中で、その栄誉を手にしたのは車両塗装の保護フィルムを製造するエクスペルだ。同社はテスラの上場時、株価が1ドル未満の「ペニーストック」で、時価総額は50万ドル強だった。だが、株価はその後、およそ17万%もの目覚ましい値上がりを遂げ、テスラを圧倒している。

 エクスペル株の急騰に乗り遅れても、悔しがっている人はいない。ペニーストック――ナスダックなど信頼できる市場に上場するエクスペルのような銘柄でも――は通常、特別なことは何もない。売買が難しくかつコストもかさむ上、情報も限られ、大きなトラブルを抱えていることも多い。その多くは跡形もなく消えていく。