中国の習近平国家主席はずっと以前から民間セクターに強い不信感を持っていた。現在は同セクターを服従させる動きを明確にしつつある。過去1世代で最も強力な中国の指導者である習氏は、世界第2位の自国経済に対する国家の支配力を一層強めたいと考えており、あらゆる規模の民間企業をその方針に従わせようとしている。中国政府は、民間企業内により多くの共産党関係者を送り込み、融資条件を厳しくし、経営幹部らに国家目標達成に向けた事業の方向付けを求めている。一部のケースでは、統制を欠くと判断された企業を国有企業に吸収させ、完全に支配下に置いている。市場と起業家は、中国の台頭に重要な役割を果たしたものの、予測不能な存在であり、全面的に信用することはできないという確信が中国指導部内で強まっていることが、こうした強硬政策の原動力になっている。複雑な経済の運営には国の計画立案者の方が適しているとの見方は、今年に入ってから広く受け入れられるようになった。国家の命令に強く依存する形で、中国経済が新型コロナウイルス流行の打撃からV字回復を果たしたからだ。