『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

スマホ依存、爪を噛む…「やめたいのにやめられない癖」を治す意外すぎる方法Photo: Adobe Stock

[質問]
爪を噛む癖をやめるなにか良い方法はないでしょうか?

癖を治すには、セルフモニタリング+拮抗行動が有効です

[読書猿の回答]
 この場合のセルフモニタリングとは、爪噛み行動を記録することです。いつもメモを持ち歩き爪噛みに気づいたら時刻と場所、できれば何をしているところだったかを記録します。

 爪噛みは無意識(知らない間)にやっていることが多いので、記録するために気付く必要があるだけで、いくらか抑制されます。

 また爪噛みが起こりやすい時間や直前の状況、たとえばストレスを感じた時や考え事をしているときなど、発生パターンがつかめると対策も取りやすくなります。

 次に拮抗行動について。拮抗行動とは、標的行動である爪噛みと、両立しない行動のことです。爪噛みについては長く研究されていて、拮抗行動としてよく用いられるのは手をじゃんけんのグーの形に握ることです。噛む爪が握った手の中に隠れて噛めない。つまり手を握ることは、爪噛みと両立しない行動です。

 セルフモニタリングと拮抗行動を組み合わせると、例えば次のような対策がとれます。セルフモニタリングを1~2週間して発生パターンを掴み、考え事をする際に爪噛みすることが多いと分かったら、なにか考え始める時には最初から手を握っておくことができます。

 この方法は、すべきでないのに繰り返してしまう行動や、もっと減らしたい行動に対処するの使えます。例えば「かきむしり(skin-picking)」や「携帯電話でSNSを見すぎてしまう」といったものに応用することができます。