『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

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[質問]
 読書猿さん、こんにちは。ご相談があります。

 勉強中、不快な気持ちが消えず、その上、嫌な思い出がどんどん頭に浮かび、20分勉強しただけでヘトヘトになってしまいます(特に暗記している時、難しい問題に圧倒されている時)。

 ちょっとでも落ち着いた気分で勉強できたらな、と思うんですが、なにかアドバイスを頂けないでしょうか?

嫌な考えを消し去ろうとしない

[読書猿の回答]
 雲の瞑想をご紹介しましょう。

 説明につかうイメージとして、空に浮かぶ雲を眺めていると想像してください。

 あなたには超能力がないので「右へ進め」と念じても、雲はあなたの意思に関係なく、そのまま浮かんでいたり、違う方向へゆっくり動いたりします。つまり、あなたには雲をどうにかすることはできません。

 しかし、そのまま雲を眺めていると、雲はゆっくりとどちらかへ移動して、やがて自分の視界から消えていきます。ただし、ある雲に注目して、雲が移動するのに合わせて自分の顔を動かしてしまうと、いつまでも雲はあなたの視界から消えていかないでしょう。

 嫌な考えは、この雲に似ています。頭の中で生じているものであっても、基本的にあなたの意思に関係なく浮かんできます。念じても消し去ることはできません。

 それどころかなんとかしようと意識を集中することで、いつまでも嫌な考えを追いかけていくことになり、ますますその考えは消えないでしょう(雲の動きに合わせて顔を動かすとどうなるかを思い出してください)。

 雲のイメージから学んだことは、嫌な考えが浮かんだら、なんとかしようとジタバタせずに、「ああ、◯◯という考えが浮かんでいるな」と思い(ここで自分と嫌な考えの間に少し距離ができています)、これは自分の意志でなんとかあるものではないと自覚して、そのまましばらく眺めて待つことです。ヒトの脳は同じことを考え続けることは実は苦手です。

 最初は、何しろ嫌な考えなので「いやだ、苦しい、こんなの耐えられない」と思って、ジタバタしてしまうでしょう。

 その時は「ああ、いやな考えは雲と同じなんだ、と言ってたっけ」と思い出してください。

 いやな考えを眺めて待つのが難しいときは、呼吸に注意を向けるといい人もいます。「今吸っている、今吐いている」と実況中継する感じです。ただ、かえって息苦しさを感じる場合には、しない方が良いです。