世界の民主主義の状況に関して、2020年は主に悪いニュースが多かった。しかし、それが改善に向かうかもしれない前兆はいくつかある。過去10年間われわれは、米政治学者のラリー・ダイアモンド氏(民主主義論)が「民主主義のリセッション(経済用語では景気後退)」と呼んだような状況に直面してきた。それは独裁的政府が幅を利かせ、法の支配が損なわれる状況だ。ダイアモンド氏が懸念するこうした状況は、1930年代のような規模の全面的ディプレッション(経済用語では恐慌)に発展する恐れもある。地政学のレベルでは、中国、ロシアという2つの巨大な独裁的大国が支配を強固にし、非民主主義的な企てを世界中で積極的に支援してきた。