――筆者のフランシス・フクヤマ氏はスタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際研究所(FSI)の上級研究員で、同研究所の民主、発展、法治センター(CDDRL)のディレクター ***  世界の民主主義の状況に関して、2020年は主に悪いニュースが多かった。しかし、それが改善に向かうかもしれない前兆はいくつかある。  過去10年間われわれは、米政治学者のラリー・ダイアモンド氏(民主主義論)が「民主主義のリセッション(経済用語では景気後退)」と呼んだような状況に直面してきた。それは独裁的政府が幅を利かせ、法の支配が損なわれる状況だ。