2020年が終わろうとしている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、出かけることなく家でゆっくりと年末年始を過ごす人も多いだろう。さまざまな予期せぬ出来事が起こった今年の締めくくりにこそ読んでおきたい4冊を作家の鬼塚忠氏が選んだ。
年末年始にこそ読みたい
「生き方」を考える本
中国武漢の海鮮市場(華南海鮮城)が閉鎖されたのは、2020年1月1日のことだった。COVID-19、いわゆる新型コロナウイルスはそこから瞬く間に世界中へ広がったとされ、ジョンズ・ホプキンス大学によると、日本時間12月22日現在、世界の感染者数は累計7736万人、死亡者数は170万人に達した。
日本では同じ12月22日現在、厚生労働省の発表によると累計19万9557人が感染し、2943人が命を落としている。しかし、たとえば今年10月について見てみれば、コロナによる死亡者が195人であるのに対し、警察庁の発表した自殺者数は2158人。自殺者は前年同月と比べても619人増となっている。コロナによる死者の3倍を超えているのだ。その差分のすべてをコロナと結びつけて語ることはもちろんできないが、コロナ禍に起因するケースも多いと考えられる。
このような時代に、私たちは何を考えればいいのだろうか。従来であれば、明日からのビジネスや日常生活に役立つ情報やノウハウを得られるものとして、書籍は大いに役立ってくれた。しかし、先の見通しがつかない状況に置かれている今、私たちが読むべきは、そうした実利を主眼とした本ではないような気がする。「生きるとはどういうことか」といったような、もっと人間の根幹に関わる思索へと導いてくれる本ではないだろうか。
私たちは何者で、どこから来て、どこに行こうとしているのか。そうした普遍的な問いについて、この冬、読書を通じて深く考えたい。そのような観点からおすすめの書籍を選んだ。