米長期国債利回りは2021年前半に上昇する状況にあるように見えるが、米連邦準備制度理事会(FRB)は上昇を制限する可能性がある。10年物米国債利回りは0.95%と年前半の低水準からは上昇しているものの、過去最低に近い水準にある。これは、新型コロナウイルス禍後に経済がどの程度堅調に推移するか、またインフレ率が安定的に上昇するかについて、債券市場の投資家が引き続き確信を持てない現状を反映している。また、それはFRBの政策を裏付けてもいる。FRBは労働市場の逼迫(ひっぱく)を示す証拠が見られ、インフレ率が2%の目標を明らかに超えるまでは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標をゼロ近辺に維持することや、雇用とインフレ目標へ向けた「大幅なさらなる進展」があるまでは、800億ドル(約8兆3050億円)相当の米国債と400億ドル相当のモーゲージ債を毎月買い入れることを表明している。