日本企業が多く、日本企業に頼って生活する市民も多い大連では反日デモが起こらなかったように、中国でも反日気運は省や都市によってまちまちだ。

 そのDさんが、「国慶節の休み中に、東京で中国からのお客さんをアテンドする」という。中国発日本行きの旅行が相次いでキャンセルとなるご時世に、それでも日本にやってくる中国人は存在する。ビジネスは、決してすべてせき止められている訳ではないのだ。

日本企業が「売り手市場」の
立場を維持する業界も

 中国企業との取引は「意外にも通常通り」だと話す日本企業もある。

 ロボット業界E社の企画担当者であるFさんは、「中国の取引先は、弊社製品を“日本製”かどうかでは判断せずに、オンリーワンだと思っています。世界のナンバーワンを手に入れたいというどん欲さは、今でも変わりません」とコメントする。

 中国が政治、外交、経済、軍事をひっくるめての対日制裁を行う背景には、「大国に成長した中国は、もはや日本から得るものはない」という意識が存在する。一方、専門家の間では、「日系企業に制裁を行えば、中国も首が絞まる」という見方ももちろん存在した。

 双方が重要な貿易相手国である事に加え、在中日系企業の多くが「日中合弁」という形で中国側も資本参加しているし、一説には中国に約3万社とも言われる日系企業は、中国人の貴重な雇用受け入れ先でもあるためだ。

 しかし、近頃は次第に、「日本と縁を切っても、中国は痛くも痒くもない」とする空気や論調が濃くなり、“過剰な自信”が支配的になってきている。

 だが、冷静に見れば、日本企業が中国に対し「売り手市場」という立場を維持する業界もまだまだ数多く存在するのだ。