かつての子どもたちの憩いの場だった駄菓子店、そこで一際輝きを放っていた商品がある。ヨーグルト瓶を模した小さなプラスチック製の容器に入り、パッケージにはゾウのイラストが描かれ、甘味と酸味のきいたクリーム状の駄菓子といえば、もうおわかりだろう。昔からその存在は知っているが、意外にもフォーカスされる機会の少ない“名品”を紹介するシリーズ、第1回はサンヨー製菓の「モロッコフルーツヨーグル」だ。(フリーライター 岡田光雄)
類似商品は淘汰され
レシピは門外不出
中高年の読者が子どもの頃、100円玉や50円玉を握りしめて足繁く通った場所といえば、駄菓子店ではないだろうか。予算の硬貨1枚の中で、雑多に並べられた駄菓子の中から最大限の満足度を得るため真剣に商品を選ぶ。
そんな群雄割拠の駄菓子市場の中で、最も人気だった商品の一つといえばモロッコフルーツヨーグルだ。現在の単価は20円で、当たりが出ればもう1つもらうことができる。口どけのよい食感に、さながらヨーグルトのような甘酸っぱい美味が特長だ。
1961年に発売されるやたちまちヒットし、その後の最盛期には十数社から類似商品が発売されたが、そのほとんどが淘汰されて今や本家も含めて数社ほどしか残っていない。
サンヨー製菓3代目社長の池田光隆氏は、その味の秘密をこう明かす。