「ハンバーグ専門店」の台頭、“質の勝負”へ

 ハンバーグは、かつては家庭では作ることができない料理でした。ですから、消費者はこぞってファミリーレストランでハンバーグを食べたものです。

 しかし、ハンバーグが人気になるとともに、レシピも普及し家庭でも作れるようになり、やがて子どもが好きな料理の1位に名前が挙がるようになりました。

 もともとは、ファミリーレストランの稼ぎ頭であり大きな利益をもたらしてくれたハンバーグですが、普及に伴いその価値はドンドン低下して、特別感を失いました。現在は、安価なメニューとして位置付けられてしまっています。

 その結果、ハンバーグを売っても大きな利益にはつながらなくなってしまいました。関税の度重なる改定から輸入牛も安価になり、ステーキがこれまでより安く楽しめるようになってくると、ファミリーレストランにおけるハンバーグのポジションは、さらに厳しいものとなっていきました。

 また、ちまたには「ハンバーグ専門店」が登場し、爆発的な集客力を発揮して大きな売り上げを確保していました。ハンバーグ専門店については、ローカルチェーンも、ナショナルチェーンも多数出店してきましたが、ハンバーグの専門店とファミリーレストランのハンバーグではクオリティーに大きな差がありました。

 ファミリーレストランは、そういったハンバーグ専門店を研究し、模倣することから始めて、オリジナルの商品を作り上げていきました。

 とろけるチーズを中に入れて、トロトロとチーズが流れ出すハンバーグを開発したり、ソースを濃厚にしてデミグラスのシチューをソース代わりにしたりと、ハンバーグに大きな付加価値を付ける方向へとかじを切ったのです。

 グラム数を選ぶことができるようにしたり、国産牛使用をうたい、牛肉100%にしたりしてハンバーグの集客力を高めるために努力する店もありました。さまざまな視点から、ハンバーグの付加価値を生み出し、この違いに各店独自の強みが表れるようになりました。

 かねてファミリーレストランの花形商品だったハンバーグ。今も、その店らしさを表す看板メニューの一つとして生き残っているといえます。セントラルキッチンで成形されたきれいな形のハンバーグも、お客様の目の前でこねてパタパタと空気抜きをして焼いたハンバーグも、その一つ一つのメニューに企業の考え方の違いが、ハッキリと表れているのです。