しかし、懸念点もあります。それは同じ先行自粛組の大阪の減少状況です。大阪も新規感染者数のピークは11月22日の490人で、そこから吉村知事が医療非常事態宣言を出す中で1週ごとに減少に転じ、年末には1日の新規感染者数が300人前後という水準まで落ちてきました。

 ただ、減少ペースは北海道と比較すれば明らかに緩く、しかも正月明けの1月4日からは新規感染者が再び増加に転じています。そして新規感染者数が減少しても、大阪のような緩やかなペースだと病床数は逆に逼迫していきます。実際、直近の大阪府のコロナ重傷者数は171人と、過去最多を記録しています。

 このあたりのメカニズムは、「8割おじさん」として有名になった京都大学大学院の西浦博教授が公開しているシミュレーションを見ることで、構造が理解できそうです。西浦教授によれば、前回の緊急事態宣言では人と人との接触を8割減らすことで、実効再生産数を0.54~0.57くらいに減らすことができたといいます。

 実効再生産数とは、1人の陽性者が何人にコロナをうつすのかを示す数字で、1よりも高ければ感染は拡大し、1を割れば感染は減ります。ただ、本格的に収束するには0.6くらいの水準に抑え込まなければいけません。大阪府の場合、2週間で新型コロナ感染者数が2割減るペースだったのですが、これがだいたい実効再生産数0.8あたりの水準です。これだと減少ペースは遅いうえに、少し状況が変わるとまた感染増加に転じる水準になります。

 では、北海道と大阪は何が違ったのでしょうか。1つは、新型コロナの感染者数が同様に多い隣県の京都や兵庫との人の行き来を、制限できなかったことがあります。そしてもう1つ、北国では冬の外出が少ないという違いがあります。

実効再生産数が下がるのはいつ?
今回の緊急事態宣言に見える「弱点」

 この観点によると、今回の緊急事態宣言の懸念点は前回と比較して「例外リスト」が多いことです。さまざまな交渉が水面下であったのでしょうが、対策はほぼ飲食店の営業自粛に集中しています。一方で例外リストには、劇場、映画館、展示場、体育館、プールなどが並びます。

 その例外リストからは、「何としても東京五輪を実現したい」という気持ちが透けて見えますが、その代償は外出が思ったほど減らないことにより、実効再生産数が下がらないことではないでしょうか。