民間のPCR検査センター
再び発令される緊急事態宣言。ここに至るまでの間に、政府は手と尽くしたといえるだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

緊急事態宣言の再発令で
疲弊する医療機関にトドメか

 いよいよまた、緊急事態宣言が発出される。

「再び全国で緊急事態宣言を出すべきだ」という声が世論調査などで6割を超え、専門家などからも「遅すぎだ」「もっと早く出すべきだった」という声があふれる中で、こんなことを言うと「非国民」扱いされてしまうかもしれないが、筆者は今回の緊急事態宣言には反対だ。

 まず、よく言われることだが、大した休業補償がない中で8時以降の営業をやめさせるというのは、飲食業などの人々への負担があまりに大きい。前回の緊急事態宣言後に廃業や失業が相次いで、コロナの死者数を上回るほどの自殺者が出たことを踏まえると、社会へのダメージが大きすぎる。

 また、ただでさえ疲弊する医療機関にトドメを刺す恐れもある。

 昨年末、『医療崩壊の真実』(エムディエヌコーポレーション)を上梓した、全国800以上の急性期病院のビッグデータを有するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの分析でも、緊急事態宣言を境に多くの病院の経営が急速に悪化していることが明らかになっている。外出自粛で新規感染者数は減ったが、同時に感染を恐れてコロナ以外の患者も病院に近づかなくなったことで、通常の医療をしている病院の収入がブツリと途絶えてしまったからだ。

 人の流れを止めれば、確かに感染者数は減る。が、それは「カネ」の流れを止めることでもあるので、多くの人々が「経済死」する。医療は商売ではないが、医療費で運営されている以上、この構造はそれほど変わらない。つまり、緊急事態宣言の乱発は回り回って、疲弊する医療従事者の皆さんの「経済死」を招くことになり、医療体制をこれまで以上にシビアなものにするだけなのだ。

 という話をすると、「これだけ感染者が出ているのに、経済死だなんだと言っているような場合ではない!」と怒る方たちがたくさんいらっしゃると思うが、筆者からすれば、いくらコロナを恐れるからといって、それはあまりにも「経済死する人」の命を軽視している。