「こんなふうに儲けていいのだろうか」

そのうえ給与所得には所得税がかかります。

これは例のバブル紳士の教えです。

株なら、自分で稼げばすべて自分の利益になります。

株の売却益にかかる税金もその頃はわずかでしたから、あってないようなもの。

投資家を諦めて会社勤めを選ぶのは、私にとってはまったくメリットがないように思えたのです。

3つ目の理由は、間近で証券会社の仕事のやり方を見ていて、「こんなふうに儲けていいのだろうか」という疑問をつねづね感じていたこと。

昔の証券会社は、窓口にやってくる高齢者に、当時の私から見ても明らかにリスクが高く損をするリスクも高い、いわゆる「ハイリスク・ローリターン」の金融商品を販売していました。

言い方は悪いですが、手数料を稼ぐために知識のない高齢者を食い物にしていたのです。

世間知らずの書生論に聞こえるかもしれませんが、そんなところで働くのは真っ平ゴメンだと(まだウブだった?)私は思ったのです。

両親としては、専門学校を出たら株ばかりやらずに、収入が安定している正社員になって働いてほしかったのでしょう。

証券会社の誘いを断った3つ目の理由を話したら、「世の中、そんなキレイごとではやっていけないんだぞ!」と父親に怒られました。

それでも私の決意は、まったく揺らぎませんでした。