連携は「新たなライフスタイルの創造と地方創生」をコンセプトに、「新しい働き方・暮らし方の提案」「まちづくりに向けた長期的な連携」「沿線活性化に向けた連携」の3つの軸に展開するとしており、会見で明かされた取り組み例を見ると「イベントの共催」から「駅やまちの共同開発」まで、時間軸、粒度ともにかなり幅広い印象だ。

 その中には「高輪ゲートウェイ駅を中心とする品川開発プロジェクトと近隣プリンスホテルの連携」や「MaaSを活用したモビリティサービスの展開」、「スタートアッププログラムの連携」など、それぞれが目玉になってもおかしくない取り組みが並んでおり、これらについては各種媒体でも取り上げられたところだ。だが本稿では、第一に掲げられた「新しい働き方・暮らし方の提案」としての「ワーケーションの推進」に注目したい。

ワーケーションの普及で
旅行スタイルを転換

 ワーケーションとは仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語で、働きながら休暇を取ることを指す。2000年代にアメリカで生まれた概念で、オフィスから離れたところでバカンスの合間にリモートワークを行う「休みながら働く」ライフスタイルだ。

 2020年7月に開催された政府の観光戦略実行推進会議でも、訪日外国人旅行者が戻ってくるまでの間、国内観光市場を拡大させる必要があるとして、ワーケーションなど新しい旅行スタイルの普及が必要との提案がされている。

 日本型ワーケーション推進の動機が、個人の幸福追求ではなく観光産業振興にあることを隠そうともしないのは気になるところだが、私たちにもメリットがないわけではない。

 日本ではゴールデンウイークやお盆、正月休みに一斉に休暇を取る傾向が強く、有休消化率も低い。このような休暇取得を前提とする限り、旅行代金は高止まりで、観光地の混雑は避けられない。

 しかし、休暇先でテレワークができるようになれば、平日に滞在日数の長い旅行も可能になり、休暇の分散化が図られるとともに、旅行消費の拡大にもつながるとして注目を集めているというわけだ。単に需要を創出するのではなく、旅行スタイルそのものを転換させようという取り組みである。これはもちろん鉄道会社にとってもプラスに働く。