東京メトロは来春のダイヤ改正で全路線の終電をおおむね10分程度繰り上げる。その理由として挙げられているのが、営業終了後に行われる保守作業の時間の確保だ。近年、設備の維持更新に加え、ホームドアなど新たな設備の整備拡充が進んでおり、1日当たりの夜間作業件数は200件を超えているという。こうした夜間作業の実態を伝えようと、東京メトロは12月16日深夜、日比谷線東銀座駅付近で実施中のレール交換作業の様子を報道公開した。その状況をレポートする。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
線路封鎖工事の数は
1日当たり約250件
地下鉄の夜は短い。日比谷線東銀座駅の終電は午前0時26分発の中目黒行き。この列車が中目黒に0時47分に到着すると日比谷線の全列車の運行は終了する。終電を見送って静寂に包まれた駅に、乗客に代わって集まってくるのは、ヘルメットと安全チョッキを身にまとった工事作業員たちだ。設備の保守作業の多くが、初電が発車する5時までのわずか4時間の間に行われる。
営業線の線路上で作業を行う際は、安全を確保するため、線路に電車を進入させないようにする措置を行う。これを線路閉鎖という。
東京メトロでは線路閉鎖と送電停止を連動させており、作業開始にあたっては送電を停止した後に線路閉鎖を行い、作業終了後は線路閉鎖を解除した後でないと送電が再開できないようになっている。
2019年度に東京メトロが行った線路閉鎖工事は約9万800件、1日当たり約250件にも上る。その内訳は軌道や土木保守など工務関係が約130件、電気関係が約100件で、その他にホーム対向壁に設置された内照式駅看板の交換工事なども行われているという。