ニュースキャスターの安藤優子さんに話を伺ったことがある。

 彼女は女性ニュースキャスターの草分けで、今も第一線で活躍しているが、19歳の大学生の頃は、パルコのエレベーターガールをしていた。

 今でも「○○階は紳士服売り場でございます」と、その当時のセリフを真似ることができるという。ある日、エレベーター内で変な男から「テレビに出ないか」と声をかけられた。当然、気持ち悪くて無視をしていた。その男は、それから何度も声をかけて来る。変態?痴漢?

 ところがその男は何度目かに「ニューヨークに行けるよ」と言った。

 安藤さんは「えっ」と振り向いてしまった。

 その男は、テレビ朝日のプロデューサーだった。新鮮なキャスター、あるいはレポーターを求めていた。エレベーターに乗ったら、元気の良い、はきはきした声、外国人にも親切に英語で説明するエレベーターガールの安藤さんを見つけたというわけだ。ビビビッときたのだろう。しつこく声をかけた。

 安藤さんも海外に関わる仕事をしたいと強く思っていた。そんな二人の思いが出会い、仕事として結実することになったのだ。その結果、安藤さんはテレビ朝日の番組でレポーターとしてデビューして、今日があるという。

 もち論、どんな過酷なレポート、海外取材も厭わないタフネスさ、女性キャスターの道を切り拓く意欲があったから今日があるのだが、どうしてその男は安藤さんに声をかけたのだろうか?

「元気な声で働いていたから、背中から意欲が出ていたんじゃないかな」

 彼女は言った。

 幸運な出会いを得るには、自分から意欲を発していなければならないのだ。