2011年4月の発売以来、「人間関係を見つめ直す良書」として反響を拡げつつある『希望をはこぶ人』(ダイヤモンド社刊)。ホームレス生活からベストセラー作家になったという異色の経歴を持つ著者アンディ・アンドルーズ氏に、「物の見方」を変えることの大切さ、そして震災復興に立ち向かう日本人へのエールを語っていただいた。
(聞き手:大野和基)
19歳からの3年間、ホームレス生活を送ることに。その間いつも考えていたのは「人生とは宝くじのようなものなのか?」という疑問。
―― 一時期、ホームレスになったことがあるということですが、ホームレスになったきっかけは?
アンドルーズ(以下A) 19歳のときに両親が亡くなりました。母はガン、父は自動車事故です。アルコールやドラッグとはまったく関係がありませんが、財政の面で間違った選択をしたのです。他に家族もいなかったので、しばらくトレーラー生活を送る羽目になりました。次がテント生活、そして車を売り払った後はテントとオートバイの生活でした。まさにテントそのものの生活です。
それからまもなくすると、桟橋の下で暮らしたり、人家のガレージに出入りしたり。そうやって実際にホームレス生活を送りました。
――桟橋の下ではどれくらい暮らしたのですか?
A 3年ほどです。
――ホームレス生活をしている間、毎日何を考えていたのですか?
A どうやったらこの生活から脱出できるだろうかといつも考えていましたが、うまくいかず落胆することばかりでした。当時の私にとって最大の疑問は、「人生というのは宝くじなのか」、つまり、サイコロを転がすのと同じように運だけで決まるものなのか、ということでした。
この人は何もしないで幸福を得たのか、なれの果てに桟橋の下で生活するようになったのか。偉大な人は生まれながらにしてそうなのか、あるいは自分で何かをしてそうなったのか。それが私にとっての最大の疑問でした。
そんなときに、ジョーンズと名乗る老人が現れたのです。