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2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で混乱した年であったが、宇宙ビジネスの歩みは止まっていなかった。ワクチンの接種開始など明るい兆しを待ち望む2021年は宇宙ビジネスがあらゆる産業に新たな価値をもたらし、未来社会に向かって大きく飛躍することが期待されている。(宇宙ビジネスコンサルタント 大貫美鈴)

スペースXによる民間の有人宇宙飛行、宇宙経済を拡大

 2020年、コロナ禍の影響を受け、宇宙産業においても閉鎖や休業に追い込まれ、従業員の解雇や倒産する企業が出た。衛星やロケットの製造は止まり、射場は閉鎖されたが、その閉塞感を打ち破ったのは宇宙開発ベンチャーのスペースXによるクルードラゴンの宇宙飛行である。これはアメリカの9年ぶりの有人宇宙飛行復活であり、民間の宇宙船による初の軌道飛行は、国際宇宙ステーション(ISS)を拠点とするLEO(地球表面から高度2000km以下の地球を回る低軌道を指す)の経済を飛躍的に拡大させることが期待されている。

 スペースXは、月や火星への惑星間飛行や地球上の2地点間飛行を実現するための完全再使用型スターシップの開発も加速させている。2020年末には世界で最も高い性能を持つというラプターエンジンを3基搭載した試験機SN8が12.5km以上の高高度飛行をするという快挙を成し遂げた。着地で爆発して試験機は失われたが、期待していたデータは取得されている。

 2021年は早々にSN9の試験が開始され、スターシップを打ち上げる超重量級ロケットのプロトタイプBN1の試験も始まる。この「失敗」を繰り返すことで開発スピードを上げるアジャイル開発こそ、未来産業を創る技術開発なのだ。

 スペースXは太平洋上のスペースポートから年間1000機を打ち上げる計画を発表、完全再使用と高頻度打ち上げでさらなる価格破壊を狙っている。

宇宙旅行でBtoC市場を創出

 2021年は、サブオービタル(準軌道)宇宙旅行もいよいよ実現する年になりそうである。