宇宙ビジネスの市場規模は、2018年に約44兆円(米スペースファンデーション調べ)といわれ、特に米スペースXを筆頭に民間企業による勢いがすさまじい。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#26では、日本の宇宙ビジネスの伸展のためには革新的なベンチャーの台頭と人材の多様化が鍵になるという、宇宙ビジネスコンサルタントの大貫美鈴氏に話を聞いた。(聞き手・構成/ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
コロナ禍の中での民間宇宙開発
宇宙ベンチャー投資は勢い衰えず
このコロナ不況下でも、宇宙ビジネスの勢いはそれほど衰えていません。というのは、コロナによって、リモート化や非接触化が進む中で、衛星データを利用した経済活動のモニタリングなどといった宇宙産業の需要が高まっているのです。2040年代には世界全体の宇宙産業の売り上げが300兆円を超えてくると展望されています。宇宙ベンチャーも今や全世界で2000件を超えたといわれていて、30年には1万件を超えると予測されています。
これまでの宇宙ベンチャー投資件数は、米国によるものが全体の半分くらいで、第2位が中国、第3位の日本はそれなりの宇宙投資国です。日本でもVC(ベンチャーキャピタル)の投資が増えてきていますが、いわゆるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の宇宙スタートアップへの投資が多いのが日本の特色です。コロナ禍でも、世界的に宇宙スタートアップへの投資は伸びていて、米スペースXも今年3月に500億円、8月に2000億円ほど資金調達しています。
宇宙産業は米ボーイングや欧州エアバスなどの航空機産業と近いです。航空会社はコロナの影響を受けて深刻な状態です。宇宙産業は、一部航空機産業とオーバーラップしている部分はありますが、勢いを失っていません。それを象徴するような出来事が、今年5月にありました。