2001年にアメリカの実業家、デニス・チトーは自費で地上400キロの国際宇宙ステーションに滞在する「宇宙旅行」を実現し、民間人でも宇宙に行けるという衝撃を与えた。しかし、その費用は約20億円。ところが「サブオービタル(準軌道)旅行」により、宇宙旅行がより現実味を帯び始めている。サブオービタル旅行とは何か?どんな開発が進められているのか?清水建設宇宙開発室、JAXA出身の宇宙ビジネスコンサルタント・大貫美鈴氏の新刊『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から、内容の一部を特別公開する。

地上100キロ超えを目指す「弾道飛行」で
宇宙旅行が現実に

 地上400キロあたりの国際宇宙ステーションに滞在するのは、「オービタル(軌道)旅行」。これには、数十億円という費用がかかってしまいます。

 宇宙旅行にはもうひとつ、「サブオービタル(準軌道)旅行」もあります。地上100キロ超えを目指す“弾道飛行”で、100キロ上空からは眼下に地球を見渡すことができ約4分間の無重力体験をすることができます。

スペースシップツーによるサブオービタル旅行の飛行経路 © Virgin Galactic
出典:https://manyworldstheory.com/2014/11/04/virgin-galactics-ridiculous-utterly-unscientific-ss2-graphic/

 数十億円も払えないけれど、1000万円、2000万円くらいで宇宙に行ける宇宙輸送機ができれば宇宙旅行はぐっと身近になる、それを実現するのがサブオービタル機というわけです。

 サブオービタル機の開発は、今に始まったことではありません。NASAによるサブオービタル機の技術開発で、技術自体が実証されたのは、実に1962年のことです。

 アメリカでは「X」というコードネームで機体開発が行われることはよく知られていますが、X-15のときに、高度100キロを超えることにNASAが成功したのでした。マッハ3のスピードです。

 1990年代になって、X-15で実現したサブオービタルの技術を事業化することで宇宙旅行を実現させようとしたのが宇宙ベンチャーでした。ロケット開発が大好きな「ガレージロケット野郎たち」は、実証された技術で運航機をつくり、事業に使えるのではないかとサブオービタル機を次々と開発していったのです。

 その機体は有翼型、カプセル型、水平型、垂直型、空中発射型など、さまざまなバリエーションがあり、離陸から帰還までの時間もさまざまですが、弾道飛行中に約4分間の無重力体験ができるという点は共通しています。

 そんな中、Xプライズ財団が設立され、サブオービタル宇宙飛行を競う「Xプライズ」が2004年にスタートしたのです。