なぜ難関国立大に通う男子が、本気で「DJ」になりたがるのかエリート大学生がDJを本気で目指す理由とは? Photo:PIXTA

Z世代とは、おもに現在10代半ば~20代半ばの男女。2008年秋、筆者は「草食系男子」の言葉を世に広め、以後も10年以上にわたって若者研究を続けてきた。そんななか、このコロナ禍でオンライン取材した若者・Z世代の生き様は、まさにウィズコロナ、アフターコロナにおける日本の未来図を予見させるものだった。ここでは、新刊『若者たちのニューノーマル』に書き切れなかったZ世代の、驚くべき価値観や職業観に迫りたい。(世代・トレンド評論家 牛窪 恵)

有名大学の男子学生が
DJ、お笑い、声優を本気で目指す

「僕、本気で“DJ”になりたいんです!」

 関西の難関国立大・工学部に通うユウタ(仮名・20歳)は、強い口調で言い切った。2020年3月、コロナ禍でZ世代の若者にオンライン取材を始めたばかりのころだ。

 失礼ながら、私はこう思った。

「せっかく苦労して受験戦争を勝ち抜いたのに、なぜDJに?」「若いからって、社会を甘く見ているのでは?」

 ところがその直後、今度は都内の有名私立大・政経学部に通うハヤト(仮名・19歳)と、某国立大・法学部に通うタクヤ(仮名・20歳)が、くしくも同じようなことを口にした。

「来年から、『声優』の学校に通いたくて、内緒で貯金しているんです」(ハヤト)
「全国の人を笑顔にしたい。真剣に『お笑い』やりたいって考えてます」(タクヤ)