サラリーマンには
夢がない?

 また、Z世代の先輩の時代から、芸能界では既に「高学歴化」が指摘されていた。

 ジャニーズのアイドルグループにも、20年に活動休止した嵐の櫻井翔やSexy Zone(セクシーゾーン)の菊池風磨(いずれも慶應大)をはじめ、KAT-TUNの中丸雄一(早稲田大)や、私が報道&情報番組「ミント!」(毎日放送)で共演するジャニーズWESTの中間淳太(関西学院大)など、いわゆる「いい大学」の出身者がズラリと並ぶ。

 お笑い芸人にも、オリエンタルラジオの中田敦彦(慶應大)やアンガールズの田中卓志(広島大)、昨今コメンテーターとしても引っ張りだこのメイプル超合金のカズレーザー(同志社大)をはじめ、やはり高学歴男性が増えたのは、周知の通りだ。

 もしかすると、彼らアイドルや芸人の親御さんの一部も、かつては「そんなつもりで、大学まで進学させたわけじゃない!」と悩んだかもしれない。
 
 でも冷静に考えると、一般的なサラリーマンになったところで、平均年収が1000万円を超えるのは「部長職」かそれ以上で、その数は決して多くない(18年 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。

 労働政策研究・研修機構(JILPT)が、先の厚労省の調査を基に算出した数字でも、従業員100人以上の民間企業における「部長比率」は、高卒で3.8%、大学・大学院卒でも17.3%と6人に1人以下、しかも55~59歳になってようやく……というケースが最も多いのだ(19年 JILPT「ユースフル労働統計2019」)。

 そのうえサラリーマンの出世、すなわち人事考課が、必ずしも「実力」と比例しないことは、多くの会社員が実感しているはずだ。

 Z世代の若者も、「将来、ダメ上司の部下になったら一生報われない」や、「僕は父親と同じく“お愛想”が言えないタイプだから、サラリーマン一本だと上に嫌われて、ずっとリストラにおびえたりしそう」などと話す。

副業願望を持つ人は
7割に上る

 一方で、先のZ世代3人は、「とりあえず就活して、いったんはどこかに入社するつもり」と口をそろえる。

 理由は、「一度は(会社員を)経験したほうが得だから」(ユウタ)や、「その後の人脈形成」(タクヤ)、「親を安心させるため」(ハヤト)といった具合。

 ニュアンスとしては、前回(『なぜ女子大生が「卵子冷凍保存」に走るのか、Z世代の驚くべき価値観』)紹介した、Z世代女子の「二刀流」(仕事と出産・育児の両立)に近い。

 彼らのような、Z世代の男子もまた「未来の夢に向けて、学生時代から時間やコストを投資する」「でもいったんは、夢と並行してサラリーマン生活を送る」など、憧れと現実(会社員)の「二刀流」をイメージしているようなのだ。