高田社長のトークと
自前の撮影スタジオの深いつながり
内田:では、戦略の別のパーツも見てみましょう。
「ジャパネットたかた」は2001年に、地元・長崎に立派な撮影スタジオをつくりました。
土屋:撮影スタジオはテレビ局に出向いて借りたほうが絶対に安いですよね。
内田:そうなんです。でも、テレビショッピングを生放送すると録画の場合に比べて5倍程度の売上が上がることが実績でわかっていました。だから彼らは極力生放送にしたかったのです。
土屋:生放送だと5倍も売れるのですか。
内田:ここでさっきの高田さんのトークと自前のスタジオの関係がわかります。
高田さんがテレビ局に出向いていたら、生トークが難しい。たとえば午前中に札幌のテレビ局に出演し、午後に東京のテレビ局、夜は大阪のテレビ局というスケジュールになる。すると、テレビショッピングの放送回数は頑張っても1日に3本でしょう。
土屋:それを毎日続けていたら体を壊してしまいますね。
内田:ところが長崎に自前のスタジオがあると、快調に生放送が可能になる。9時は札幌、10時は仙台、11時は東京などとテレビショッピングを数多くオンエアできるようになります。では、当時の「ジャパネットたかた」にとって一番大事な経営資源は何でしょうか。
土屋:これは間違いなく高田社長ご自身です。
内田:そうなんです。一番大事な経営資源=稀少経営資源である高田さんの時間をフル活用できるから、自前でスタジオをもつのはとても意味があります。
土屋:なるほど、戦略のパーツとパーツがスムーズにつながりました。