スタンフォード大学講師のダニエル・スナイダー氏によれば、米国の政府関係者たちは、合意の細かい点にまで目を向け、あくまでも踏み込みすぎない姿勢を維持しながらも、「慰安婦問題の解決に向けての日韓双方の歩み寄りなしにはあり得ない」との考えを両国に伝え続けたという。

 日韓の合意を受けケリー国務長官は直ちにこれを歓迎する声明を発表した。ケリー氏は「米国の最も重要な同盟国である日韓関係の和解を促し、改善を後押しする」「日韓の指導者が持つ勇気と未来像を称賛し、国際社会が合意を支持することを求める」と非常に強い言葉で合意を支持した。

 これを受けて、日本はその合意の履行に誠意を持って取り組んだ。また、朴大統領も、和解・癒やし財団の理事長に対し、すべての元慰安婦に合意内容を説明して納得を得るよう指示した。すべての元慰安婦と接触したのはおそらくこの時が初めてであろう。

 その結果、当時存命であった元慰安婦46人のうち36人が財団からのおカネの受け取りに同意した。全体の78%である。普通に考えれば、これによって慰安婦問題は「最終的不可逆的に解決」となるが、そうはいかなかった。文在寅政府がこれを否定したからである。

日韓慰安婦合意を
無視した文在寅政権

 しかし、2017年5月10日、日韓慰安婦合意に批判的な文在寅氏が大統領に当選すると、安倍首相との電話会談で「国民の大多数が心情的に受け入れられないのが現実」と述べ、合意に批判的な立場を表明した。

 元慰安婦の78%が受け入れているにもかかわらず、なぜ「国民の大多数が受け入れていない」といえるのか。要するに「自分に近い人が受け入れていない」というだけではないか。これは民主主義の原則に反するのではないか。

 さらに外交部は日韓慰安婦合意について検証を行い、康京和(カン・ギョンファ)長官が18年1月9日に検証結果を発表した。康長官は、合意は慰安婦問題の真の解決にはならないとしたものの、「公式な合意であった事実は否定できない」として再交渉を求めない立場を明らかにした。ただ、慰安婦の尊厳の回復や心の傷を癒やす努力を続けることを日本政府に要求した。