英国で設立された
スーパーマーケット銀行
今回は、事業会社と銀行、双方向に参入を容認する「ツーウェイ規制」の欧州において事業会社が銀行を保有する事例を中心に見る。その嚆矢(こうし)となったのは、英国の大手スーパーマーケットによる銀行設立である。最も成功している例は、英国小売り最大手のテスコが1997年にロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)と合弁で立ち上げた「テスコ銀行」(正式名称はテスコ・パーソナル・ファイナンス)であろう。
小売業者は銀行業への進出が最も多い業種である。その理由としては、(1)自らの顧客基盤に金融商品をクロスセルできる、(2)小売りには決済が伴うため金融との親和性が高い、(3)ポイント会員制度と組み合わせたマーケティングができる――などが挙げられる。