9月に「ドコモ口座」の不正引き出し問題が相次ぎ、キャッシュレス決済に不安を抱く人が多い。しかし、コロナ禍もあって、今後確実にキャッシュレス化は進んでいく。今、私たちがすべき対策を確認して、最低限の備えをしよう。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
「ドコモ口座」不正引き出し問題で
キャッシュレス化に不安な人たち
コロナ禍の影響で現金離れが進んでいる。JCBが8月に発表した「キャッシュレス決済に関する調査~コロナ禍におけるキャッシュレス決済事情~」によれば、「コロナ禍のくらしで、これまで現金で支払っていたお店でもキャッシュレス決済を利用するようになった」と回答したのはキャッシュレス利用者の66%で、そう答えた割合はいずれの年代でも半数以上を占め、最も低い60代でも約6割だという。“新しい生活様式”においてもキャッシュレス決済が推奨され、事前決済や無人レジも増加、脱現金の動きは加速しているように見える。
しかし、それに水を差すような事件が起きた。「ドコモ口座不正引き出し問題」だ。犯罪者が他人の銀行口座から勝手に預金を決済サービスへと移動してしまうという手口だが、その際に利用されたのがd払いやPayPayといったスマホ決済だった。
むろん、キャッシュレス決済を利用すること自体が「悪」ではない。自身が利用していないのに勝手に決済サービスのアカウントが作られてしまう手続きに欠陥があり、銀行も決済業者側も今後はなりすましを防ぐ本人確認を一層強めていくという。それでも「キャッシュレス決済は犯罪者に狙われやすいのでは」と不安を抱く人もいるだろう。
しかし、確実にキャッシュレス化は進む。「不正利用の被害が心配だ」という人は、ただ恐れるだけでなく、今からできる対策を取るほかない。