「銀行・証券断末魔」特集(全5回)その3は、上下編に分けてお届けする。今回の3(上)では、全国の利用者2000人にアンケートを実施し、信頼感や利便性などに関して個別の銀行に対するイメージ調査を行った。好感度でメガバンクを上回ったインターネット銀行が出るなど、利用者の本音が浮き彫りになった。なお、続くその3(下)「上場企業が付き合いたくない銀行ランキング、メガバンクの順位に異変」では、上場企業107社が回答した「付き合いたい・付き合いたくない銀行」と、その理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
楽天銀行の躍進が目立つ
利用者は対面からネットへ
全国に住む一般の利用者は、普段どのような銀行を使っているのだろうか。「付き合いたい銀行」と「付き合いたくない銀行」をそれぞれ1行ずつ選ぶとしたら、どんな銀行が上位にくるだろうか。
選択した理由も含めて調べるため、ダイヤモンド編集部は今回インターネットで2019年8月下旬にアンケートを実施した。20代、30代、40代、50代、60代の男性と女性(銀行など金融関係者を除く)、それぞれ200人ずつの計2000人から回答を得た。その結果が、下記のランキングである。
「頻繁に利用する銀行ランキング」では、3メガバンクが上位に入った。1位が三菱UFJ銀行(単一回答で345人が投票、以下同)、2位が三井住友銀行(199人)、3位がゆうちょ銀行(181人)、4位がみずほ銀行(179人)だった。
3メガバンク、ゆうちょ銀行とも身近に支店があることが得票につながっている。
5位は楽天銀行(171人)、6位はりそな銀行・埼玉りそな銀行(103人)と続いた。
なお、地方銀行全体では、433人の票を集めたが、最も回答者が多かった福岡銀行で22人。次いで横浜銀行が19人だった。
このほか、10人以上の得票があった地銀は、北海道銀行が15人。北洋銀行、千葉銀行が14人。京都銀行、広島銀行が13人。第四銀行、静岡銀行、西日本シティ銀行が12人。七十七銀行、中国銀行が11人。足利銀行、八十二銀行が10人だった。
注目すべきは「付き合いたい銀行ランキング」だ。1位は三菱UFJ銀行(330人)で、頻繁に利用する銀行と同じ順位である。
2位は順位が入れ替わり、楽天銀行(209人)が浮上した。メガバンクの三井住友銀行(196人)とみずほ銀行(161人)、ゆうちょ銀行(144人)を押しのける格好となった。
一般の利用は対面からネットに移りつつあり、楽天銀行はネット銀行大手として利便性の高さが評価された。
一方、ゆうちょ銀行が順位を下げたのは、高齢者に投資信託を勧める際に金融商品についての理解度の確認を怠るなど、不適切な契約が多数発覚した影響が大きかった。
地銀全体の得票は336人にとどまり、「頻繁に利用する銀行ランキング」(433人)と比べて2割以上減った。地域に根差すことでしか活路を見いだし得ない地銀だが、利便性の高いネット銀行にその基盤を侵食されつつある。
得票数は福岡銀行が17人。北海道銀行、第四銀行が12人。中国銀行、西日本シティ銀行が11人。七十七銀行、足利銀行、千葉銀行、横浜銀行、静岡銀行、京都銀行、広島銀行が10人だった。