コロナ禍特有の状況を利用して
二毛作ビジネスを狙う

(3)破壊者:業界ごとなくそうとする企業

 イノベーションは日常では生まれることはない。やはり急激な環境の変化が起こる中で、新たに生まれるものだ。

 近ごろ、このような状況下でも好調なビジネスモデルがある。「サブスクリプションサービス」だ。商品ごとにその都度、購入金額を支払うのではなく、一定期間の利用権として料金を支払う方式である。

 2019年度のサブスクリプションサービスの国内市場規模は6835億2900万円。2020年度は前年度比15.2%増の7873億円が予測されている(矢野経済研究所)。

 話は少しそれるが、コロナ禍を後押しに急増したものに「ウーバーイーツ」をはじめとしたフードデリバリーサービスがある。デリバリーの多い店舗の前で、利用者からの受注を配達員がじっと待つ姿を比喩した「ウーバー地蔵」という言葉まで生まれた。店前の歩道で待機することで通行人の邪魔にもなり、たばこのポイ捨てや路上飲食を行う配達員もいたりして、問題となることもある。そこで、空き店舗を彼らの「有料の休憩スペース」として活用したら、新たなビジネスモデルが生まれないだろうか。

 例えば、スペースにテーブルやイスを用意し、トイレを完備する。ドリンク販売やシャワースペースはオプションでも構わない。そのスペースを1カ月、3カ月といった利用単位のサブスクリプションサービスで課金していくのだ。

 彼らは昼と夕刻の飲食時間が稼ぎ時であり、その時間帯は利用しないだろう。そのため、飲食の時間帯には近隣のジョギングやマラソンランナーの利用を促進する。ビジネス街や繁華街の立地であれば、昼食時や会社から帰宅までの隙間時間にランナーは走るため、フードデリバリーサービスの繁忙時間とは時間がかぶらず、二毛作ビジネスとなる。コロナ禍の収束後は、机とイスが配置してあるのだから、文化教室スペースとしての活用もはかれる。

 利用料金を下げるため、エナジーフードやドリンク、シューズ、自転車などのメーカーがプロモーションの一環としてスポンサーとなり、店内にブースを構えてみてもいいだろう。その場で栄養補給のためのフードやドリンク、サプリメントの販売、シューズや自転車のレンタル・販売、マッサージ等も可能となる。

 ちなみに、自転車店が一番の収益としているのは、パンクなど修理関連だ。タイヤ用チューブのパンクした穴を塞ぐゴムパッチや、バルブにつける劣化した虫ゴム(細いチューブ)の交換は原価10円ほど。修理代が1000円であれば、高い荒利益が取れる。

 2020年は、コロナ禍により衛生面に配慮した消毒や除菌グッズ、非対面と非接触の工夫を凝らした接客サービスなど、新たなビジネスが生まれた。また、売上減少を食い止めるためにテイクアウトやデリバリーサービスも急速に拡充した。

 コロナ禍のこの厳しい局面をピンチとして埋没してしまうのか、もしくは新たなビジネスチャンスとして明日への希望に変えられるのか。外食産業界は、いや応なく大きな転換と革新の時期を迎えている。

(マーケティングコンサルタント 新山勝利)