ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の収監を受けた同国内の抗議行動は、ロシア政府に反対するもっと大きな運動に拡大する兆候を示している。その原動力は、生活水準の低下とウラジーミル・プーチン大統領が長期支配の基盤を固める中で政治的自由が縮小していることへの不満だ。プーチン氏の強硬な外交政策は、ハッキング攻撃やウクライナ、中東などへの軍事介入によって欧米諸国に屈しない姿勢を示すことで、1990年代のボリス・エリツィン政権以降低下していたロシアの影響力を国際舞台で取り戻す役割を果たしたと受け止められている。プーチン氏は何年もの間、こうした政策を背景とした人気に支えられてきた。しかし、毒殺未遂の被害で倒れた後に健康を回復したナワリヌイ氏がロシアに戻った途端に拘束されたことを受けて発生した先週末の一連の抗議行動は、より広範な運動へと変化しようとしている。裁判を控えたナワリヌイ氏に裁判所が30日間の拘束を命じた後、市民の不満は怒りへと変わりつつある。慢性的な汚職、昨年の原油相場の急落、新型コロナウイルスの大流行に伴うロックダウン(都市封鎖)措置などが、こうした怒りを助長している。