MX-30は、確かに、一連のマツダ車とは一線を画したクーペデザインが新鮮に映る。中でもインテリアの見せ場は、ベース部分にコルク材をあしらったフローティングコンソール。その前方にレイアウトされた空調コントロール用のタッチパネルもなかなかの出来。この種のアイテムの操作性は経験上“例外なくいまひとつ”であることから懸念していたが、ディスプレイ両サイドにメカスイッチを配したことでブラインドタッチ性を確保。実際に扱いやすい。デザインを重視するだけでなく、操作性を大切にしたマツダの良心を改めて感じた。

 ATセレクターにもユニークなアイデアが導入されている。DとRレンジを後端と前端、Pレンジはそのライン上から外した右端といずれも“突き当たり配置”したのだ。新たなロジックのため操作には慣れが必要だが、誤操作の可能性を大きく下げる効果が期待できそうだ。

モノグレード構成。
エンジンはマイルドHV仕様

 ラインアップはモノグレード構成。基本モデルはシンプル装備だが、多彩なパッケージオプションが設定され“ベストなMX-30”が選べる。この販売手法は、かつてトヨタ・セリカなどのスペシャルティカーが導入していた“フルチョイスシステム”を思い出した。

 現時点のパワーパックは、5.1kWスタータージェネレーター付きの2L4気筒のガソリンエンジン(156ps/199Nm)+6速ステップATのマイルドハイブリッド仕様のみ。欧州で発売済みのピュアEV仕様はもとより、圧縮着火を行うスカイアクティブXやディーゼルバージョンは未設定。これらは今後の展開の可能性が考えられる。ピュアEVは2021年1月28日に発売された。将来的にはロータリーエンジンを発電用に用いた仕様も開発中という。

 試乗は、FFと4WD両仕様で行った。共通するのは路面への当たり感が優しく、静粛性にも富んだ“優しい乗り味”。スタータージェネレーターを用いることによる、アイドリングストップからの静かで滑らかな再始動も、CX-30以上に上質な走りの感覚を生み出していた。