「ブルーオーシャン採用」はおいしいことだらけ!

 例えば、第1回で『どんな企業でも欲しがる「目に見えるスペックを持っている人材」を採りあう「レッドオーシャン」について』述べましたが、わざわざ競争の激しいレッドオーシャン市場で採用活動をしてしまうのは、逆に、弱腰人事であることの表れかもしれません。

 しかし、経営者や現場リーダーを納得させ、ポテンシャルを重視する「ブルーオーシャン採用」ができれば、自社が継続的に優秀な人材を採用する力が向上することにつながり、ひいては人々が自分の可能性を発揮しやすい社会につながるのです。

 ちなみに、創業期からリクルートでは当時比較的競争の少なかった「女性採用」を積極的に増やすことで、優秀だけれども女性というだけでなかなか社会に出ることのできなかった人材を大量に採用してきました。「地方採用」「未経験者採用」などもそうです。

 「履歴書上の優等生」という狭いところでしのぎを削るではなく、ポテンシャルという実のある人材を見抜くことが、人事担当者が本来すべき大事な仕事、というわけです。

 ただ、この「ブルーオーシャン採用」にも難点があります。

 それは、何度も言いますように、経営や現場との摩擦です。人事が一番言われたくないのは「なんでこんなヤツを採ったんだ!」という言葉ですが、ポテンシャル採用はその名の通り「見えにくい採用」ですので、そういわれてしまうこともあるかもしれません。そこで、ついつい誰が見てもそこそこ優秀な「見た目に良い人材」(=レッドオーシャン市場)に手を出しがちです。しかし、それでは何も変わらないのです。